町工場LT vol. 1

町工場で働く現場の方々が,
うちの技術すごいんだぜ!!
と, 自慢の技術をトークしてくださるイベント「町工場LT vol.1」に参加してきました.

登壇する友達からのお誘いで参加した本イベントでしたが,
皆さんのお話と, 実際の加工サンプルと合わせて, 非常に面白かったです!!

詳細

具体的な詳細は,
募集ページ主催者のツイッターなどに書いてありますが下記の通りでした.

日時: 2020/02/21 19:00 –
場所: キャディ株式会社

タイムテーブル:
1. オープニングトーク&乾杯(キャディ 笹口さん)
2. トップオブ微細加工への道 (超入門編) (松浦製作所 色川さん) 
3. 樹脂切削加工について(シナノ産業 遠藤さん)
4. 工作機械観点からみる世界のモノづくり市場 (キャディ後藤さん)
5. 華麗なるTIG溶接 (共栄溶接 波田野さん)
6. “仲間回し”と“設計力”で 町工場のチカラは爆発する (安久工機 田中さん)
7. キャディがやろうとしていること (キャディ 幸松さん)

会場

浅草橋駅から数分歩くと, 会場のキャディ株式会社に着きます.

看板

中へ入ります.

会場の雰囲気はこんな感じです.

会場 (この写真はお開きになった後のもの)

LTと展示

そんなこんなでLTが始まりました.
笹口さんのオープニングトークで, この町工場LTの開催経緯を伺ったのち, 各人のトークが始まりました.

笹口さん

トップオブ微細加工への道 (超入門編) (松浦製作所 色川さん)

色川さん

最初は微細加工の技術をしている色川さんでした.

前述の僕の友人が, まさに色川さんだったんですが, 大学卒業後に何をやっていたか知らなかったので, 非常に新鮮でした.

内容はタイトル通り, 微細加工技術について.
– ミクロ精度の金属加工技術を駆使してどんなものを作っているか
– どんな加工機械を使用しているか
といった内容でした.

そもそもミクロ精度の加工ができる事自体がすごいんですが, 具体的な加工技術/過程を紹介してくださりました.

LT後の展示で撮影した写真ですが, 以下に掲載します.

削り出しのみで磨いてないのにこの鏡面仕上げ
ピラミッドの頂上に非常に小さいオバマが描かれています
めっちゃ細い剣山
中心のくぼみに, 小さな六面体が入ってます
切り込みによってクリップのように動かせる部品

樹脂切削加工について(シナノ産業 遠藤さん)

遠藤さん

遠藤さんは, 金属加工を経験された後, 現職の樹脂加工に移り, 10数年, 腕を磨いて来られた方でした.

金属と樹脂の両方を経験されたこともあり, 両者の加工の違いから話しくださいました.

– 樹脂切削加工の作業工程
– 樹脂というと, 金属より柔らかいと思いきや, 材料によっては金属より硬いものがある
– 樹脂の弾力性によって, 様々な形状の加工ができること
– 様々な色の樹脂があるため, 色覚多様なものが作れる
– ご自身の職人としての強み・意識
– 女性の職人の方の発想の違い
などです.

具体的な展示の写真は以下です:

どうやって切削したのか素人ではわからない立体感
どうやって切削したのか素人ではわからない立体感2
女性の方が提案された樹脂の色を生かしたかわいい花と葉
切れ目なしで, リングに複数の四角が通ってます
かわいい独自キャラクターの型?
切削後に磨いてピカピカにしたハート
ネジの溝のようなものが切ってあり, 各円が回転します
こんな風に動きます. 動くと思っていなかったので感動してます

工作機械観点からみる世界のモノづくり市場 (キャディ後藤さん)

後藤さん

主催のキャディの後藤さんの登壇.
とてもフランクな方で, 特製の蝶ネクタイから話が始まり, 日本の工作機市場の凄さを語っていらっしゃいました.

– 微細加工技術がない国はそれ以上微細なものを作ることができない.
その技術がその国のポテンシャル.
→ 静岡の藤枝
– 富士重すごい
– アメリカは標準化した工作機械を主とする一方, 日本は複雑な構造で細かい需要に合わせた工作機械が多い
– コンピュータと工作
– MPU (マイクロプロセッサユニット) を導入したのはIBMがパソコン(1981)に入れるよりもFANUCが工作機(1975)に入れたほうが早い
– 中国製のタブレットで操作する工作機械を導入されている日本の工場を見た話.
安いから買ったそうだが, タブレットでの操作は使いづらいんだそう.
イノベーションのジレンマ
– 海外の需要を日本の企業は把握しきれていない
– 日本の工作機市場のポテンシャルをさらに活かす
– 脱工作機械メーカー → 体験を売る等
– 全世界の図面データを集められれば, 需要分布がわかり, 細かいニッチな需要もわかるかも?
などです.

TIG溶接について (共栄溶接 波田野さん)

波田野さん

TIG溶接の技術の波田野さん.
非常に明るい方で, 自称「人をつなぐ溶接工」なのだとか.

– 溶接技術には色々ある
アーク溶接, 半自動溶接, TIG溶接, レーザ溶接
– 一番汎用性が高いのがTIG溶接 (Tungsten Inert Gas: タングステン不活性ガス)
– 最も融点の高い金属(タングステン)を利用した溶接
– 溶接の依頼で困るものあるある
– 溶接すると金属は熱で曲がる
– 溶接部分は構造色できれいだけど後の処理で消えがち. ただ, それを生かした作品も制作中…?
などのお話をされていました.

具体的な展示サンプル:

溶接でこれくらい曲がるそう
溶接前にあえて反りを加えることで, 溶接による反りをキャンセルした例
溶接犬かわいい
円筒の溶接
ヘルメット

“仲間回し”と“設計力”で 町工場のチカラは爆発する (安久工機 田中さん)

田中さん

試作のコーディネータを得意とする安久工機の田中さん.
もともとは文系だったそうですが, ご実家の工場の社会への必要性を感じ, 転職されたのだとか.

– 発注者と工場との間にある, 図面制作というギャップに課題を感じてる
– 発注者が図面を引けないこともままあるので, どう図面化すればよいのか
– そもそもどういう形状にすればよいのかもわからない試作品の段階だとなおさら図面化が難しく, 本来, 発注者と工場との密なやり取りが必要
– そこで, 図面と工場サイドをひっくるめてコーディネータが担当することで, 柔軟性等があがる
– 日本にはたくさんの工場があり, 各々のスキルも違う.
工場規模が大きく, 扱える素材や加工の種類が豊富で, 熟練工が十分いて…
という工場は存在しない. だってコストがものすごいかかるから.
→ でも…
各工場のスキルを積み上げれば, 共同体として1つの最強の工場として機能する
– 日本でこれをやっていたのが大田区の工場たちで, 「仲間回し」と呼ばれる
– 自工場のスキル以外を必要とする依頼が来た場合, この仲間回しで受注する
– 下請けではなく, 互いにフラットで契約関係にあるわけでもないので,
「横受け」と呼ばれている
– 仲間回しがさらに広がるといいな

といった話がまずありました.
その後, 盲学校の先生からの触れる絵が描けるペンの依頼が大田区のとある工場にきた, という具体的な話に移ります.

– 最初に連絡が仲間回しによって, 適当そうな工場に話が回る.
– どう実現したら良いかわからないけど, 熱い依頼内容にうたれ, なんとか現実化したくなる.
– 依頼元の予算の都合もあり, ゆっくり数年かかっていく試作がはじまる
– 様々な改良と試作の末についに完成.
– 食べても安全な蜜蝋が温まって吐出されることで, 触れる絵が描けるペンが完成

それが触図筆ペンでした.

触図筆ペン (展示にて)

そして, このプロジェクトでコーディネータをされていたのが, コーディネータ専門の工場である, 安久工機でした!!
という流れできれいに締めてらっしゃいました.

展示では完成まので試作を見せてくださいました.

初号機
2号機
2号機 先端
3号機
4号機
完成機
完成機 ペン部分
先端部分は修正ペンのように動きました
絵を描く素材であるカラフルな蜜蝋

キャディがやろうとしていること (キャディ 幸松さん)

幸松さん

最後の登壇者はキャディの幸松さんでした.
大手企業退社後に数ヶ月無休で大田区のとある町工場で修行したのち, キャディに入られたという経歴の持ち主.
修行中は高速タップができたのだとか.

– 修行中に気づいたのは現場の社長の大変なスケジュールと, 顧客のためにものづくりにまっすぐな工場の皆さん. そして, そのスケジュールで働いても売上は黒赤を行き来.
– 多重下請け構造が問題なのでは?
– なにかに特化できないと利益が出にくい構造になっている
スマイルカーブ (販売台数 vs 売上)
ニッチで儲ける or 量で儲けるなど
– 自分たちの工場の強みを客観的に判断できていない?
– キャディがなかに入ることで見積もり処理を楽にしたり, 発注人の発注をどこの工場に依頼すれば良いかなどの最適化など, 助けになれるはず
– それらを独自のシステムを生かして現実化
といった話をされていました.

日本の工場がもつ具体的な悩みと, キャディが実現しようとしている日本の製造業のポテンシャルの開放(未来の製造業のあるべき姿)を話されていて, とても興味深く聞かせていただきました.

まとめ

長くなってしまいました…
私は工場での経験がまったくなかったため, そもそも町工場がどんなことをされているのかを具体的に当人の口から知ることができたのがまず非常におもしろかったです.
それぞれの強みといったものを楽しそうに話しておられる皆さんの顔が印象的でした. 実物を見れたのも楽しかったです.

また, 町工場が抱える現実の問題点や今後, 解決案など, 普段にはない多くの刺激を得ることができました.

本イベントにたずさわった皆様, そして誘ってくれた友人に大感謝です.

vol. 1ということで, 2への意欲も十分でしたので, 次回があればまた参加したいです.

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